今日は、企業内で行われる「研修」で、盲目的に”信仰”されている
「90/20/8の法則」について考えてみます。
これは企業で「研修」を企画・運営したり、参加したことがある人ならだれもが知っている、、、悪い神話(?)のようなものです。
「The Creative Training Techniques Handbook」で有名になったボブ・パイクが提唱する手法というか説で、
(90/20/8の法則)
・パイクが提唱したタスク効率化の法則。
・90
人間が「理解」しながら話を聞けるのは90分が限界。
研修やセミナーは90分で区切る
・20
人間が「記憶」しながら話を聞けるのは20分が限界。
研修で20分以上話してしまうと受講者の記憶には残りにくい。
・8
人間が飽きず(集中して)に話を聞けるのは8分が限界。
「8分」を意識して研修を組み立てる。
・「90/20/8の法則」を適用することで、研修や学習の効率を上げることができる。
らしいです、、、、、。
いや、これを信じて「研修」をスケジューリングする人や企業の多いことには驚いてしまいます。
まずは、時間ありき、、、、ですね、、、
この「90/20/8の法則」に何か根拠のようなものを見つけようとしても無理で、有名な「ボブさん」がそう言っているらしいから、、、
ということで、日本だけでなく世界中で使われています。
「教育」「学習」について少しでも学んだことのある人なら、「90/20/8の法則」がとんでもないデタラメであることはわかるはずなのに、、、、
こんなものが ”スタンダード” になっているという現実はなかなか厳しいですね?
(大学のFD教育なんかでも取り入れるところがあるという、、、、世も末です)
「研修する時間は限られているんだ!」
「全世界で使われてるんだよ、、」
そうですね、もちろん”時間”は限られていて、何日でもかけていい「研修」など不可能です。
でもね、それは「研修」を企画・運営・実施する側の都合であり、単なるスケジューリングなわけです(スケジューリングを研修・教育デザインだと勘違いしている人の多いこと、、、、)。
これが、企業内で行われる「研修」「教育・学習」の最もダメなところです。
「学校教育だってそうだろ?」
という人がいますね、、、
「学校教育」の無意味さをそのまま引きずっているのが「90/20/8の法則」です。
「学校教育」は「カーネギー単位」です。
「カーネギー単位」については前にも記していますが、簡単に説明すると、
(カーネギー単位)
・アメリカの高等教育における学習時間の単位で、学生がどのくらい学習に時間を費やしたかを表すために使用。
・アンドリュー・カーネギーに由来。
・1カーネギー単位(またはカーネギーユニット)は、1週間に5日、1日に1時間、少なくとも36週間(つまり1学年)学習したとされる。1カーネギー単位は約120時間の学習時間を表す。
・高校の卒業要件や大学への入学要件の設定、大学の学位授与要件の設定などに使用される。
・一般的に、高校での1科目の修了は1カーネギー単位に相当し、4年制大学の学士号取得には約120カーネギー単位が必要。
どうです?
「90/20/8の法則」とほとんど同じ考えでしょう?
「教育(研修)時間」=「学習時間」
と考えている時点で、、、、、終了していますね、、
限られた時間の中で、どう「研修・教育」をデザインすれば”効果・効率”が上がるかを考えずに、「90/20/8の法則」があるからという思考というか、洗脳を解くにはどうすればいいんでしょうね?
つまるところ、「研修」「教育」は「垂れ流しの e-Learning」と同じだということです。
学習して内容を習得しようがしまいが関係がない、「ご講演座学」「グループワーク」「e-Learning」をやることに意味があって、それが私たちの”仕事”ということです、、、ね。
「学習」して「習得」する時間は、個人によって全く違う
「学習内容」によって、「教育デザイン」はすべて違う
という根本的なことを無視して、「研修」も「教育」もあったものではないと思うのですが、、
「崩壊した熊大インストラクショナルデザイン」ではありますが、まだ「公開講座」は旧メンバーでやっているようなので、「基礎」だけでもいいので一度受講されることをお勧めします(「応用」のARCSはあまり必要ない気もしますので、、、)。
相当時間も内容も圧縮された(?)「研修」ですが、時間配分の参考にはなると思います。