ここ最近、若い人たちの会話の中に「失敗から学ぶ」という言葉がよく出てきますね?
これは、いたるところで行われる研修や授業、講義、そして、ビジネス書の影響が大きいのはわかりきっています。
特に、IT関連のスタートアップ系社長さんなんかがよく講演で取り上げますね?
私も、そういったビジネス書を嘗て読んで、これは大事なことだ! なんて考えていたこともあります。
確かに、長い人生において、1つや2つの失敗なんて大したことではないし、その失敗からの気づきや、学びを元に新しい道を歩いていくという「成功ストーリー」には大変魅力があります。
「失敗から学ぶ」というのは、「失敗」をネガティブではなくポジティブにとらえる、たとえ「失敗」しても命まで取られることはない、、、みたいなコンテキストが多いですね?
ただ、これをクリティカルに考えると、
「失敗なんてしないのが一番いいのではないか?」
となりますよね?
そりゃそうです、最初から最後まで「失敗」しない方が絶対的にいいにきまってます!
それに、「失敗から学ぶ」の例に挙げられる成功談は、カリスマとか一代で大きな企業に成長させた、とかのいわゆる「スーパースター」のお話ばかりなのです。
大多数の人に、そんな夢物語を信じさせるのって、、、どうなのかなぁ、と思っています。
この「失敗から学ぶ」を「教育」で考えてみると、「形成的評価」に他なりません。
ある単位のところで立ち止まって、それまでの評価をし、上手くいってなければ方略なり、デザインを変更して、ゴールを目指すわけです。
「教育」の場合は、初めにちゃんとした調査・分析、デザインをしてあれば、通常は「形成的評価」で大きな変更をする必要はありません。
(だって、最初から目標を達成できるようにデザインしているんですから!)
一般大多数の人の場合、このような文脈がいいように思うのです。
「失敗なんてしないのが一番いいんです!」
なぜこんなことを久々に思ったかというと、今年、私の住む県に私立の高等専門学校ができて、その授業内容をニュースで見たからです。
この高専は、私立ということで、東京なんかのIT関連の人たちや、最近巷を賑わせている某シェフ、大企業がお金を出して、山奥に作った全額無料の学校です。
この高専の目標が、
「卒業生の40%を起業家にする」
だそうで、、、
非常に歪んだ感覚だと思っています。
卒業時に、IT社長さんたちが出資して、4割の人を起業させればいいだけですね?
その後、成功しようが潰れようが関係ないという、、、
まぁ、それはそうと、そのニュースのなかで、新入生がIT社長の講義を聞いた後に、
「失敗から学ぶ、失敗を恐れないことが大事だと思いました、、、」
などと言っていて、、、、
何か違う・・・・いや、違うだろ?
と思った次第です。
失敗も成功もしていない15や16の子供に、「失敗から学ぶ」なんて思考を、わざわざ植え付ける必要がどこにあるでしょう?
そんなくだらないことは考えないで、「好きなことを、好きなように学べばいい」んです!
IT社長自身が「失敗から学んだ」のなら、それはそれでいい。
でも、そんなことを子供に講義してしまう感覚が私にはわかりません。
そんなことを話すより、プログラミングのロジックについて教えてあげたりする方が100万倍ましですね?
「失敗から学んで」その後成功した人と、「失敗して」そのままどこかへ消えていった人の数を比較してみたらいいです。
「失敗から学んで」成功した人なんて、ごくごく少数の運がよかった人ですから!
アメリカなんかでは、何度でも生き返るチャンスがあるとかいいますが、それはまず最初にある程度の「成功をした後」、「失敗して」、「復活する」場合です。
日本の環境だと、その確率は相当低いでしょう?
「失敗を恐れない」ことは、たんなる無謀な夢である場合がほとんどだと思います。
「失敗を恐れる」
「失敗する前にクリティカルに考える」
「失敗しないように事前にデザインする」
これが、「教育」でも「人生」でも大事なことだと思うのです。