スターバックスの「人材育成」や「マネジメント」が話題になったことがありました。
様々な書籍が出され、スターバックスがいかに「素晴らしい企業」であるかということが語られ、例のごとく ”マネ” ようとした会社やリーダーが次々に現れましたね?
ハワード・シュルツの「ミッション」マネジメントは素晴らしいと思いますし、
”One cup at a time, one customer at a time”
というコトバは、「CUP」を「教育・学習・人材育成」に置き換えれば、正にそのとおり、、ですね?
さて、現在は、時代の流れと経済状況の悪化により、昔ほど語られることは多くありませんが、今回は、そのスターバックスの「人材育成」での概念の一つでもある、
「ラーナードリブン」(Learner Driven=自ら学ばせる)」
について考えてみます。
「ドリブン(Driven)」というコトバが、特に人事・営業関連でトレンドになり、
「データドリブン」
「チームドリブン」
「テクノロジードリブン」
「カスタマードリブン」
と、何でもかんでも「ドリブン」をつけて、すべてを正当化しようとする流れがあり、個人的には「???」と思っていました。
そんな中でスターバックスの「ラーナードリブン」もかなり話題になりました。
スターバックスの「ラーナードリブン」の概略は、
・従業員が自ら学び、成長し、自身のキャリアを自己管理することを奨励する教育方針。
・各従業員が自分自身の成長と学習に対して主導権を持つことを重視。
で、「自分で学び」「自分で考え」「自分で実行する」、、、
まぁ、シュルツの想いが、日本のスターバックスに届いているかどうかは、微妙なところですが、スターバックスがどこからも絶賛されていた頃は、少なくともかなりの影響力がありました。
教育関連の学会や、人材育成のセミナーとかでも、「ザッポス(Zappos)」なんかと一緒に常に取り上げられていましたね。
一般的な「学習者主体の学習」ということだと、
・学習者が自身の学習過程を自己管理し、自己決定することを重視する教育手法。主に学習者中心の教育として理解されている。
・生徒たち自身が自分の学習目標を設定し、必要なリソースを探し出し、学習過程を計画し、自分自身の進捗を評価する能力を養う。
・自己学習能力や自己評価能力、問題解決能力、批判的思考能力などを育てることを目指す。
・伝統的な教師中心の教育とは対照的で、生徒は受け身の学習者から能動的な学習者へと変わる。その結果、生徒は自分自身の学習に対する責任を持つようになり、自分自身の学習により深く関与するようになる。
・21世紀のスキルとして求められる自己学習能力や問題解決能力、批判的思考能力などを育てるための教育。
ということで、「仕事」という制約されたフレームの中で、「教えられるのではなく、自ら学ぶ」という考え自体は全くの正論です。
では、
スターバックスのラーナードリブンは本当に”ドライブ”しているでしょうか?
子供がスターバックス好きで、よく行くのですが、これまで行った日本のスターバックスでは、、、どうも”ドライブ”しているように思えないのです。
「考えて」、「自主的な判断」をしているのだろうか? と思うことが多々あります。
なぜか?
シュルツの従業員を ”パートナー” と呼び大事にするという気持ちはわかりますが、
店長、副店長、正社員、アルバイトがすべて違うベクトルで仕事をしているな、、、と感じることが多いです。
アルバイトであっても、時給を上げるためのシステムがあるなどというのは大変すばらしいことですが、他のファストフードの従業員との差は全くといっていいほど感じられません。
ブラックエプロンの人にコーヒーの話をすれば、詳しく答えてくれますが、スターバックスでコーヒーを頼むことは、、、、、あまり無いですよね(私だけか?)。
これは文化の違いで、日本だけなのかなぁとも思ったのですが、アメリカのスターバックスでも賃金アップにたいしてのストライキなんかも聞こえてきます。
正直なところ、
ラーナードリブンは”ドライブ”していない、、
というか、あれだけ多くの商品が次々と出される会社で、「自分で学び」「自分で考え」「自分で実行する」などということはまず不可能ですね?
数十のレシピを覚える=学習
と考えると、時給1000円やそこらで「自分で学び」「自分で考え」「自分で実行する」なんていうことをするはずがないです。
”パートナー” というコトバの響きだけで人は動かないということです。
ブランド自体は浸透し、大成功していると思いますが、本当にラーナードリブンで行こうと思えば、環境を整えないと、「人は学ばない」、、、、が現実です。