テクノロジーの進化や、環境の変化により、「教育の ”スイッチングコスト” 」が下がっている という話が聞こえてきます。
これまた、非常に「胡散臭い」感じがしますね?
今回は、そのことについて少しだけ考えてみます。
因みに、「スイッチングコスト」というのは、
・顧客がある商品やサービスから別の商品やサービスへと変更する際に発生するコストのこと。
つまり、何かを「切り替える」ことで発生する様々なコストのことです。
スイッチングコストは主に以下の3つの要素から構成されます。
・金銭的コスト
新しい商品やサービスへの移行に伴う直接的な出費。新しい機器の購入費用、解約料、初期設定費用、人件費などがこれに該当。
・時間と労力
新しい商品やサービスに慣れるために必要な時間や、新しい契約を結ぶための手続きなどにかかる時間と労力。
・心理的コスト
新しい商品やサービスへの不安や、既存の商品やサービスを手放すことによる不満や失望感など。
(スイッチングコストが高い)ほど、
「顧客は現在の商品やサービスを続ける」傾向があり、
「ビジネスにとって顧客のロイヤリティを高め、競合他社からの顧客の奪取を防ぐ役割」を果たす。
(スイッチングコストが低い)と、
「顧客は新しい商品やサービスに容易に移行しやすく、市場の競争が活発化する」
ということですね。
約20年前、LMSが日本に入ってきて以来の環境の変化(新型コロナ感染の拡大も相まって)を機に、「教育・学習」の環境が大きく変わりました。
「オンライン教育(LMS,GIGA、、)」
「ZOOM研修」
等が、トレンドになり、「スイッチングコストが低い!」と吹聴(?)されました。
また、ChatGPTの登場によって、コトバだけが先行していた感のあるDXの分野でも業務や人の大幅な変更を行おうとする取り組みの中でも「スイッチングコスト」が話題になりました。
「教育」でも「コスト」を意識することは重要だと前にも記しました。
自分がやろうとするインストラクションは、どれだけトータルコストがかかり、どれだけの「成果」が得られるのか?
ということを考え、算出することは必須です。
そして、そういった文脈の中で「スイッチングコスト」を考慮する必要は出てきますね?
”アウトプットが固定”されている生産関連の事案であれば「スイッチングコスト」を第一に検討します。
また、ほぼ同等機能のシステムを、安い業者に乗り換えるという場合も同じです。
しかし、「教育」の「成果」が全く提示できていない現状で、「教育の”スイッチングコスト”」が下がっている、、などと論じることは、
完全に間違っている!
し、
全く意味がないことだ!
と思うのです。
「教育」では、
「効果」と「効率」の比率
が重要です。
単純に、「スイッチングコスト」が低いからいいとか、「スイッチングコスト」が高いからダメ、ということではないのです。
しかし、「教育の”スイッチングコスト”」が下がっている! ということを広めている大元が、LMS等を商品として扱っている「IT業界」だということを忘れてはダメです。
現在語られている、
「教育の”スイッチングコスト”」が下がっている!
というのは、
IT業者による、単なる「商売」の売り文句
です。
集合して対面での「ご講演座学」を、LMSを使った動画を「垂れ流しの e-Learning」に変更する、ということで「スイッチングコスト」を論じることに何の意味があるでしょうか?
”MOOCsの大失敗” が前例としてあるにもかかわらず、
・国は「GIGAスクール構想」というパソコン配りに注力し、
・企業は「ZOOM雑談」や「垂れ流しの e-Learning」に突き進む
という、
「効果」が0(ゼロ)(つまりアウトプットがゼロ)という状況で、「教育の”スイッチングコスト”」が下がっている! ということを論じているわけです。
そういうことではないはず、、、だと思うのですが。