一昔前の ” AI搭載LMS ” などでは、よく映像での解説に「優秀そうなアバーター」が使われることがありました。
今回は、「アバター」、それと「字幕」を使った ” e-Learning コンテンツ ” について 考えてみます。
一般的な映像のe-Learning コンテンツでは、スライドだけを表示し、声でその内容を解説するというのが多いですね?
どうしても自分を売り込みたい(?)ような人は、顔を出したり、身振り手振りの映像を出したりもします。
それが、” AI搭載LMS ” をもっともらしくするために、「アバター」がインストラクターとなって解説するというコンテンツがかなり流行りました。
「アバター」を使うメリットとデメリットとしては、
(メリット)
・ユーザーの関与度を増加
アバターが生徒に直接指導を行うことで、学習者はより深く学習内容に関与することができる。学習者が学習内容を理解し、記憶することを助ける。
・個別化された学習体験
学習者がマンツーマンで教えてもらっているような感覚となり、自分のペースで学習を進めることができ、学習結果も向上する可能性がある。
・学習のモチベーションを向上
ゲーム要素を加えることで学習のモチベーションを向上させることが可能。特に若い学習者に有効。
(デメリット)
・高コスト
アバターを設計し、適切に機能させるためには、専門的なスキルと時間が必要。開発(導入)コストが高くなる可能性がある。
・技術的な問題
全ての学習者がアバターを使うのに必要な技術的なスキルを持っているわけではない。一部の学習者が学習内容にアクセスするのを困難にする可能性がある。
・ディストラクション
一部の学習者はアバターによって学習から気を散らす可能性がある。特にアバターが鮮やかで遊び心がある場合に起こりやすい。
ということです。
確かに、最初は面白そうに思えますよね?
しかし、人間というのは”誰もがすぐに慣れて”しまい、新鮮な感覚というのは決して長続きしません。
それを考えると、「アバター」に興味をひかれるのは1,2回。その後は、あっても無くてもどちらでもいい、か、目にするのが邪魔、、、
みたいになります。
年に1,2度のコンテンツなら、まだ許容されるとは思うのですが、これが毎日の「学習」するためのコンテンツとなると、やはり弊害の方が多いように感じられます。
人間の「感覚」というのは、それぞれ別個に機能する、ということを以前に記しました。
・見る(読む)
・聞く
は「相乗効果」を生み出すことは稀で、個人によって「見る(読む)」方が得意な人、「聞く」方がいいという人がいます。
「見る」+「聞く」→学習効果が高い
とはなりえません。
それ以前に、アバターであろうがインストラクター、先生等の他人が喋っている「ご講演」を聞いて、すべてを理解し、記憶できる人など皆無です。
「学習」は「教えてもらう」のではなく、自らが「学ぶ」行為です。
勿論、自分の知識の確認の為に「ご講演」を聞いたりするということも「学習」の一部ですから全否定はしませんが、、、、新しい知識・スキルを習得するのに、「ご講演」形式の映像コンテンツ(スライドに書いてあることをただ音声で流すような)はあまり意味が無いとは思います。
と、身も蓋もないことを記してしまいましたが、
また、メタバースの失敗によって、いつの間にか「アバター」は、はるか遠くの世界に行ってしまいました(まだ頑張って活動しているアバターも少しはいますが、、、)。
さて、次は「字幕」です。
YouTubeやテレビなどで、「字幕」をオンにしている人ってどれくらいいるのでしょうか?
これは、音を出せない状況や、聴覚に障害のある人にとっては非常に重要な機能だと思います。
この機能で最も有効(?)な場面は、一般的には外国映画を「字幕」で観る時ですね?
さて、それを e-Learning のコンテンツに取り入れている場合が結構あります。
映像作成の立場から言うと、面倒だけれど、きっと役に立っている、、と思いがちです。
しかし、これも「アバター」同様に、
「聞く」+「見る(読む)」→学習効果が高い
とはなりません。
人間の感覚機能はパラレルで稼働するからです。
しかし、「読む」という行為は、ただ聞いているよりは少しは”能動性”があるため、若干のメリットもあるのではないか、、、とは思います。
”能動性”と記しましたが、これはあくまで、学習者が「読もうする場合」です。
凄く面白い映画でも、「字幕」を追うのに疲れて寝てしまう、、、なんてこともありますからね?
ということで、「アバター」や「字幕」を使った ”e-Learning コンテンツ ” については、
ほとんどの場合「不要」ではないか?
と考えます。