今回は、”「アプリシエイティブ インクワイアリー:Appreciative Inquiry」一辺倒の教育について ” というテーマで考えてみます。

長所を伸ばす、成功事例を分析する、、そういったことは「教育・学習」においてもとても大事なことで、その結果 ” 専門性 ” を身につけたりすることができます。
しかし、「学習」では必ずいくつもの壁に直面したり、成果が出ないなどということがあります。
そこに目を瞑って、いいコトばかりを見ていたのでは、結局は何も成果を出せずに時間だけが過ぎてしまう、、、ということもあります。
(アプリシエイティブ インクワイアリー:Appreciative Inquiry)
強みや成功事例に焦点を当て、ポジティブな変化を促進する手法。
価値探求。
問題解決に焦点を当てるのではなく、成功事例や強み、ポジティブな経験に注目し、それを基に未来を創造していくことを目的とする。
(教育方略)
・ポジティブな焦点
問題や課題に焦点を当てるのではなく、何がうまくいっているのか、強みや成功体験に焦点を当て、学習者のモチベーションを高め、前向きな変化を促進する。
・協力と参加
学習者全員が積極的に関与し、自分たちの経験や知識を共有することで、共同で学び合う環境を作り、コミュニティ全体の学習効果向上。
・ディスカバリー(発見)
現状の強みや成功事例を発見し、それを共有。学習者は自分たちのリソースや可能性を認識する。
・ドリーム(夢)
理想的な未来について議論し、ビジョンを共有。学習者は共通の目標に向かって進むための動機を得る。
・デザイン(設計)
理想の未来を実現するための具体的なプランを設計し、どのような行動が必要か、どのようなステップを踏むべきかを具体的に計画する。
・デスティニー(運命)
計画を実行し、継続的に進捗を確認しながら、目標達成に向けて努力。
(デメリット)
・現実逃避のリスク
ポジティブな側面にのみ焦点を当てるため、組織や個人が直面している現実の問題や課題を見逃す可能性がある。問題を無視することは、長期的には有害であり、根本的な課題解決が遅れることもある。
・バランスの欠如
ポジティブな面に強く依存するため、ネガティブなフィードバックや批判的な視点が不足することがあり、全体像を見失い、バランスの取れた意思決定が難しくなることがある。
・文化的適用性の限界
特定の文化や環境では受け入れられない場合があり、問題解決型アプローチが強く根付いている文化や組織では、価値が理解されにくいことがある。
・時間とリソースの要求
参加者全員の積極的な関与と協力を必要とするため、時間とリソースがかかることがあり、大規模な組織やプロジェクトでは、全員の協力を得るのが難しく、プロセスが遅延することもある。
・期待管理の難しさ
理想的な未来を描くことに焦点を当てるため、現実と理想のギャップが大きい場合に参加者の期待が過剰に膨らむリスクがあり、ギャップが解消されないと、参加者が失望し、モチベーションが低下する可能性がある。
・専門知識の必要性
効果的に実施するためには、ファシリテーターやリーダーが適切な訓練を受けている必要があり、専門知識が不足している場合、プロセスがうまく機能せず、期待する成果を得られないことがある。
というようなことです。
「アプリシエイティブ インクワイアリー」はチームビルディングなどでよく語られますし、インストラクショナルデザインの「理想と現実のギャップを埋める」というのも根本は同じように思います。
常に「理想」や「ビジョン」を頭の中に置きながら、、、、というのは、「目的意識」を持って、、ということなので、別に悪いことではありませんが、
”「目的」は最終ゴール ”
ということを認知せずに、「目標」と常に混同している場合が多すぎるように思うのです。
そういう人は、
”上ばかり見ながら道を歩いている ” ような学習者であり、すぐに躓いて転倒してしまいます。
” 目標は高いほどいい! ”
などという人もいます。
いや、そうではなくて、
” 目的は高くてもいい! ”
です。
これまで何度も記しましたが、
「目的」=「最終ゴール・理想・ビジョン・夢」
であり、
「目的」にたどり着くまでの関門や壁が「目標」
です。
そして、「最終ゴール・理想・ビジョン・夢」といった ” 目的 ” ばかりを見ている(見せている)ことは「教育・学習」では悪手そのものです。
モチベーションという名の下に、成功事例や長所ばかりを強調した「アプリシエイティブ インクワイアリー」一辺倒になる状況がないでしょうか?
「長所を伸ばす」ことは勿論大事なことです。しかし、「短所をある程度克服」しなければ、「長所」はやがて「長所」ではなくなってしまいます。
1つのことしかできない、1つの考え方しかできない、1つのモノの見方しかできない、、、、
では、どうにもなりません。
問題解決する際に、1つのアルゴリズムや手法が得意で、以前はそれで上手くいったから、という風にやって成果が出ないということはよくあることです。
苦手なことを「専門」にした方がいいということを言っているのではなく、「短所」がわかっているのなら、「得意でないこと」がわかっているのなら、それに対処することが必要だということです。
” 楽天的な ” 教育者や組織リーダーは「アプリシエイティブ インクワイアリー」一辺倒に成りがちです。
自戒の念も込めて、しっかりと地面に足をつけ、キョロキョロしながら歩いていくのがいいのではないかと、、、、、