「リンダ問題」って聞いたことありますか?
これはいろんな本等で引用されたりしているので、ビジネス書なんかをよく読んでいる人にとっては、どっかで聞いたなぁ~、とか、知ってる! って感じでしょう。
(詳しくは、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」を参照ください)
「リンダ問題」
(背景)
・ リンダは31歳の独身女性。
・ 外交的でたいへん聡明である。
・ 大学での専攻が哲学だった。
・ 学生時代には、差別や社会問題に強い関心を持っていた。
・ 反核運動に参加したこともある。
(問)
・リンダは、下記のどちらの可能性が高いですか?
①: リンダは銀行員である。
②: リンダは銀行員で、フェミニスト運動の活動をしている。
というやつです。
「合接の誤謬( conjunction fallacy)」もしくは「連言錯誤」
一般的な状況よりも、特殊な状況の方が、蓋然性(確からしさや発生確率)が高いと誤判断すること。
とか、
「代表性ヒューリスティック(representative heuristic)」
ある事象が、典型例とどの程度、似ているかや、当該のカテゴリーの代表的な特徴をどの程度、備えているかといったことをもとにして、その事象の生起頻度や生起確率を判断する方法。
なんてことです。
こんな簡単なこと、間違えるはずがないじゃない!
って思いますよね?
いやいや、これが実際に間違えるんですよ。
アメリカの大学の実験ではなく、某社の新入社員の研修の前に、突然この問題を出して、挙手してもらったところ、、、、
なんと、40数名の新人「全員」が、②を選択しました。
ある程度は間違えるだろうな、と思ってこの問題を出したのですが、まさかの結果に、、、、大笑いしてしまいました。
冷静に、論理的に考えれば答えは①であることは誰もがわかるはずなのですが、人間ってそれができないんですね、、、。
これは、知識とかスキルとかの問題ではなく、ある意味人間の特性というか、思考の傾向にあるように思います。
ダニエル・カーネマンが言うように、「直感は間違える」し、通常は「ヒューリスティック」に従って多くの場合がうまくいきます。
しかし、企業の現場で、もっとも重要なのは、ほんとに大事な場面で、ロジカルに、クリティカルに、「思考」できるかどうかです。
これをコンピテンシーといわれれば、そうかもしれませんが、40数名全員がこのコンピテンシーを持っていないとすると、、、、、非常に非効率的でチャンスを逃す、、、ということです。
では、このような能力は、よくある「ロジカルシンキング入門」や「クリティカルシンキング入門」で身につくでしょうか?
こういうことは、知識を入れたからと言って、とっさの判断ですから、なかなか難しいと思います(そりゃ、知識をインプットしないよりする方がいいに決まっていますが、、、)。
では、どうする?
という話です。
これが「正解」というのは、まずないと思われますが、
1つの方法として、いくつもの判断を要する「エレベーター・ピッチ」を繰り返す、、、のはどうでしょうか?
ロジカルに考えないとできない問題を出し、とっさに答える訓練をする。
くらいしか思いつきません。
おそらく、こういうことはどの企業もやっていないでしょうが、実はこういうことが企業内教育で最も大事なのではないかと最近考えています。