louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「学習方略(Learning Strategy)」 ~ 学習の引き出し ~

今回は、星の数ほどある ” 学習方略(Learning Strategy)~ 学習の引き出し ~ ” ということについて考えてみます。


学習方略(Learning Strategy)については、様々なヒトが、様々なコトを言っていたり、モデルとして発表したりしていて、これまでもいくつか紹介してきましたが、それこそギリシャ時代から今日まで「学習者」は、学習の「効果・効率」を求めてきました。


ただ、学習方略だけが学習を「効果的・効率的」に導くわけではなく、学習環境、分析、タイミング、方略、前提知識、到達目標、評価等のトータルな「学習デザイン」をできればいいのですが、なかなかそういったことまで手が届く人は少ないと思います。


学習方略だけを学んでも仕方がない、、、といえば、そうなのですが、「独学ブーム」であったり、塾の「個別指導」などが主流になっている現代の「学習者」には、ある程度の知識は必要だと思っています。


ということで、5つの学習方略を紹介します。

学習方略

(リハーサル方略)


・記憶したことを思い出せるか試してみる。
・覚えたいことを繰り返し唱えて覚える。
・情報を繰り返し思い出すことで記憶を強化する。
・短期記憶から長期記憶への情報の移行を助ける。

・単に情報を繰り返すだけではなく、その情報が意味する内容を理解し、自分自身の言葉で表現するなどの深い処理を行うことで、より効果的な学習が可能となる。

・他の学習方略と組み合わせることで、さらに効果を高めることができる。情報をカテゴリーごとに分けて整理する「組織化方略」や、情報をイメージやストーリーに結びつける「精緻化方略(エラボレーション方略)」などと併用することで、記憶の定着を促進することができる。


(精緻化方略)


・学んだことを自分の言葉で詳しく説明する。
・学んだこと、獲得した知識や、学んだ概念同士をつなげたり、日常生活の事象と関連づけたりする。
・新たに習得した情報を、既に知っている情報や自身の経験と関連付けて理解し、記憶する。

・学習した情報をより深く理解し、長期記憶に定着させる効果があるとされている。単に情報を覚えるだけでなく、その背後にある理論や原理を理解することを求められる学習に特に有効。

・ What (何を) 学習しているかよりも、学習中のトピックの背後にある How (どのように) や Why (なぜ) により重きを置く。


(体制化方略)


・複数の学習内容を分類・整理しながら関係を持つようにまとまりをつくる方略。
・学習情報を一定の体系や組織にまとめて覚える。
・情報をカテゴリーやグループに分けて整理し、それぞれの情報がどのように関連しているのかを理解することで、記憶を助ける。

・情報を階層的に整理する「階層化」、情報を時間や場所などの順序に従って整理する「順序化」、複数の情報を一つのまとまりとして覚える「チャンキング」などの方法がある。

・情報を整理し、構造化することで、情報間の関連性を理解しやすくし、記憶の定着を助ける。学習した情報を再生する際にも、情報の組織化が行われていれば、効率よく情報を引き出すことができる。


(理解監視方略)


・自分自身の学習過程や理解度を自己監視し、評価するための学習方略の一つ。
・自己問いかけ、自己解釈、自己検証など。
・自分自身で自分の理解度をチェックし、必要ならば学習方法を修正したり、理解が浅い部分を深掘りする。
・自分の理解度を確認するために、自分自身に質問を投げかけたり、学んだことを他人に説明したりする。

・自分が何を理解していて何を理解していないのかを明確に把握することができ、より効率的な学習が可能になる

・自己調整学習の一部


(情緒的方略)


・自分自身の感情や気分をコントロールし、学習に集中するための手法。
・自分の感情を理解し、その感情が学習にどのように影響を与えているかを把握し、必要に応じてその感情を管理する。

・学習環境や学習内容に対して抱くネガティブな感情をポジティブなものに変えるために用いられる。

・モチベーションを高め、学習成果を向上させる役割を果たす。学習が困難であったり、長期間にわたる場合には有効な学習方略。


といった感じです。


全ての方略が、全ての学習者に合うというわけではありません。しかし、


「様々な学習方略があるということを学習者が知っていること」


は非常に有益です。

 

やってみて成果がでなかった方略は捨てればいいし、行き詰ったら別の方略を試してみることができます。

 

「学習」が不得意、、、と思っている人でも、単にその学習方略が自分に合っていないだけなのかもしれません。

 

どうしようもない教育者は、そういった人たちを「頭が悪い」と言って、簡単に切り捨ててしまいます。

 

違った学習方略を取ったり、いくつかの方略を組み合わせたりすれば、「学習」が不得意ではなくなる可能性はあります。


(リハーサル方略)だけで100点が取れれば、それでいいでしょう。しかし、95点だったとしたら、(精緻化方略)(理解監視方略)を取り入れてみると次には100点が取れるかもしれません。

複雑かつ大量の知識習得が必要なら(体制化方略)が有効になるかもしれませんね?


「学習方略は学習の ” 引き出し ” です」


つまり、「学習」するのにも「引き出し」が多ければ多いほど有利だということです。